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後編

IMG_3337t.jpg

ヤスシの顔面にビニル製の楕円が飛び込んできた。

「セーフ・・」
審判は重い表情で答えた。かれこれヒロキは十五分以上ヤスシの猛ラッシュを受け続けていたからだ。

ヒロキに当たってリバウンドしたボールを手に取ったヤスシは再び構えた。
「くそッ、お前・・わざと・・・!」
「気のせいさ」

マサカリ投法から繰り出されるヒロキのボールは地面から数センチ上を滑るように飛び、ヒロキまであと一メートルという距離で急上昇した。

「セーフ・・」
三十六度を超えるグランドに、ヤスシの汗と、そして血が滲んだ。

「おいヒロキ・・」
二人の決闘を見守っていただけのクラスメートたちはもう我慢できなくなった。
「俺たちはクラスメートじゃないか・・。そんでヤスシはお前の親友だろ?もうこんなにしなくたってお前がどれだけカヨちゃんに本気なのかも伝わ・・」

「黙ってろ!」
ヤスシの声がグランドに響いた。クラスメートたちはヤスシが止めることの意味がわからなかった。

「俺たちはお前のために・・」
「うるさいって言ってるだろ!なあ、そうだろヒロキ!」
ヒロキは無言で頷いた。

砂と血で汚れた顔をティーシャツでこすりながら、ヤスシはフラフラと立ちあがった。教室の中でふざけては先生に叱られるクラスの人気者の影はどこにもなかった。

「ヒロキ・・、俺たちは会話のキャッチボールすらできないんだよなあ。どれだけ仲良くしたって結局は自己主張ぶつけ合うことしかできないんだ。そりゃ何度も一緒の道を目指そうとしたけど出来なかった。そして今、互いを傷つけあう為だけにドッヂボールをしている・・」

「なあ、そんな俺たちをどうして笑って見てられるんだ?カヨちゃん!!」

カヨちゃんは熱中症で早退していた。


燃えろ!恋のドッヂボール!~外野は黙ってろ~
第一話「対峙する内野」 終

2010/07/23 00:00 | 趣味COMMENT(0)














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